2025年の注目ドラマ『しあわせな結婚』で主演を務めるのは、演技派俳優・阿部サダヲ。
彼が演じるのは、世間から注目を集めるカリスマ弁護士・原田幸太郎。テレビにも引っ張りだこの人気者でありながら、50年間独身主義を貫いてきたという複雑なキャラクターです。
この記事では、阿部サダヲの演じる幸太郎という役柄の深みや、これまでのキャリアをどう活かしているのかを掘り下げてご紹介します。
この記事を読むとわかること
- 阿部サダヲが演じる原田幸太郎の人物像
- 役作りやコメントから見える演技へのこだわり
- 過去作と比較して浮かび上がる演技力の魅力
阿部サダヲが演じる原田幸太郎とは
ドラマ『しあわせな結婚』の主人公・原田幸太郎は、法曹界で“レジェンド”と称される存在です。
阿部サダヲさんが演じるこのキャラクターは、弁護士としての実力とテレビでの親しみやすさを併せ持つ多面的な人物として描かれています。
公の顔と私生活のギャップ、そして“ある女性”との出会いによって揺れ動く心情こそが、この役の核心です。
法廷でもテレビでも輝く“レジェンド弁護士”
原田幸太郎は、もともと検事としてキャリアをスタートさせた人物です。
その後、弁護士に転身し、社会的関心の高い事件で次々と無罪判決を勝ち取ることで、一躍時の人となります。
さらに朝の情報番組やクイズ番組、討論番組にも出演し、タレント性も兼ね備えた“メディア対応型弁護士”として多方面で活躍するようになります。
その発言は時に鋭く、時にユーモラスで、「弁護士なのにエンタメ力が高い」と評されるキャラクターでもあります。
鉄壁の独身主義者が電撃結婚する理由
しかし、そんな幸太郎にはもう一つの側面があります。
それは、「結婚はしない」と50年間言い続けてきた、筋金入りの独身主義者という顔です。
両親は他界し、兄弟もいない天涯孤独の彼は、自分以外の人間と生活を共にすることに強い拒絶反応を持っていました。
そんな彼が、病院のエレベーターで偶然出会った美術教師・鈴木ネルラに心を奪われ、突如として結婚を決意するという展開は、視聴者を大きく驚かせます。
この“変化”こそが、阿部サダヲさんが演じる幸太郎という役の深みを際立たせているのです。
阿部サダヲが語る役作りとコメント
阿部サダヲさんはこれまでも多様な役柄を演じてきましたが、『しあわせな結婚』での原田幸太郎役には、これまでにない挑戦とアプローチが込められています。
本人のインタビューやコメントからは、この役に対する真摯な姿勢と独自の解釈がうかがえます。
ここでは、阿部さんが語った役作りの裏側と、作品への思いを紹介します。
「弁護士役は初めてではないけど、今回は全く違う」
過去に検事や警察官など“正義の職業”を演じてきた阿部さんにとって、弁護士役は珍しくありません。
しかし、『しあわせな結婚』での原田幸太郎については、「法律を扱うキャラでありながら、感情の振れ幅がとにかく大きい」と語っています。
メディアに露出する表向きの顔と、自宅では誰にも触れられたくない“孤独の塊”であるというギャップが、今回の役の難しさであり、面白さでもあるそうです。
「セリフだけではなく、表情や“間”で語る場面が多い」と述べており、言葉以外での感情表現にも力を入れていることがわかります。
“孤独”と“愛”をどう演じるか
原田幸太郎は、自ら孤独を選んできた男です。
それが突然、誰かと生きることを選ぶ——この大きな心の変化を、阿部さんはどう表現したのでしょうか。
阿部さんは「この役は“感情を隠してきた男”が、人生で初めて誰かに心を開こうとする瞬間を演じるのが最大のポイント」と語っています。
突然の結婚は、幸太郎にとっては“愛”ではなく“恐れ”の裏返しかもしれない——という独自の解釈も印象的です。
このように、台本に書かれていない感情の裏側まで丁寧に想像し、役に深みを持たせている阿部サダヲさんの姿勢は、まさに職人のようです。
しあわせな結婚における阿部サダヲの演技の見どころ
『しあわせな結婚』で阿部サダヲさんが見せる演技は、静かな深さと劇的な転調を自在に行き来する“技”に満ちています。
特に、言葉にしない心情を表現する場面や、感情が爆発する瞬間の振れ幅にこそ、阿部さんならではの魅力が詰まっています。
ここでは、そんな彼の演技の要点を2つの視点からご紹介します。
表情と言葉に宿るリアリズム
阿部サダヲさんの演技は、「大げさにしない」リアリズムに定評があります。
『しあわせな結婚』でもその特性が遺憾なく発揮され、沈黙のシーンや目線だけの芝居で、視聴者の心を揺さぶる場面が多く登場します。
特に幸太郎がネルラに疑念を持ち始める中盤以降は、セリフではなく表情の“揺れ”で観る者にメッセージを伝える構成が多く、「信じたいけど信じきれない葛藤」を丁寧に描写しています。
静と動の演技を巧みに使い分ける手腕
阿部サダヲさんのもう一つの強みは、“静の芝居”と“動の芝居”を瞬時に切り替えることができる点です。
物静かなシーンでは感情を抑えつつ、突如として怒りや悲しみが噴出する場面では、視聴者の予想を超える熱量で役に生命を吹き込んでいます。
特に印象的なのは、妻の秘密に気づいた瞬間の“静から動”の転換。
それまで冷静だった幸太郎が、怒りと困惑を抑えきれず声を荒げるシーンは、役の背景をしっかり理解しているからこそ可能な演技だと感じます。
これまでの出演作との比較から見る演技力
阿部サダヲさんは、コミカルな役からシリアスな役まで幅広く演じ分ける“変幻自在”な俳優です。
『しあわせな結婚』における幸太郎というキャラクターは、その両極の演技力が融合した集大成的な役といえるでしょう。
ここでは、彼の過去作と比較しながら、今作における演技の進化と深みを紐解きます。
『舞妓Haaaan!!!』のコミカルさと本作の対比
2007年公開の映画『舞妓Haaaan!!!』では、阿部さんはテンション全開のコミカルキャラ・鬼塚公彦を演じ、“笑いと熱量”の天才として大きな話題を呼びました。
全編を通じてエネルギッシュな動きと怒涛のセリフ回しで、観客を一瞬たりとも飽きさせないパフォーマンスを見せました。
一方、『しあわせな結婚』ではその真逆のアプローチ。
セリフの“間”、沈黙、感情の起伏をコントロールしながら、内に抱えた想いを“静かに熱く”表現する演技が特徴です。
『彼女がその名を知らない鳥たち』の心理描写との共通点
2017年の映画『彼女がその名を知らない鳥たち』では、阿部さんは中年男・陣治を演じ、痛々しいまでの愛情と自己犠牲を表現して絶賛されました。
あの作品では、醜さと優しさが入り混じる難役を、静かな語り口と表情の芝居で演じきり、俳優としての新境地を開きました。
『しあわせな結婚』の原田幸太郎も、強い理性の裏に、情の揺らぎを持つ点で通じる部分があります。
特に「それでも彼女を愛せるのか」というテーマは、両作品に共通する人間ドラマの核心でもあります。
しあわせな結婚×阿部サダヲがもたらす作品の深みまとめ
ドラマ『しあわせな結婚』は、ミステリアスな展開と心理描写が魅力の作品ですが、その中核を支えているのが主演・阿部サダヲさんの圧倒的な演技力です。
彼が演じる原田幸太郎は、理知的で冷静、しかし人知れず葛藤を抱える人物。
この難しい役を阿部さんが演じることで、作品そのものが持つテーマが一層深みを増しています。
キャラクターに命を吹き込む“存在感”
阿部サダヲさんの演技には、常に“その役がそこに生きている”というリアルな存在感があります。
幸太郎という人物も、脚本だけでは単なる“変わり者”として見られてしまう可能性がありました。
しかし、阿部さんの演技によって、観る人が自然と共感し、内面の複雑さに心を寄せてしまうキャラクターへと昇華されました。
キャスティングの段階から「阿部サダヲ以外に考えられない」と言われたのも納得のハマり役です。
視聴者に残るのはセリフより“余韻”
この作品で印象に残るのは、派手なセリフや感動の一言ではなく、ふとした沈黙や視線の動きがもたらす“余韻”です。
阿部さんの演技は、視聴者に「自分ならどうするか」と問いを投げかけるような余白を生み出します。
この“余韻”こそが、視聴者の心に長く残り、作品の印象をより深いものにしているのです。
『しあわせな結婚』は、阿部サダヲという俳優が主演であることで、ドラマ以上の体験を届けてくれています。
この記事のまとめ
- 阿部サダヲが演じるのはカリスマ弁護士・原田幸太郎
- 徹底した独身主義者が電撃結婚に至る過程を熱演
- 過去の代表作と対比される繊細な心理表現
- 言葉よりも“余韻”で魅せる阿部サダヲの存在感
- 視聴者の心に問いを残す深い演技が話題
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