「波うらかに、めおと日和」軍人・瀧昌の役柄とは？海軍中尉の背景と人物像を深掘り

2025年春ドラマ「波うらかに、めおと日和」で本田響矢が演じるのは、帝国海軍に勤める軍人・江端瀧昌。

昭和11年という戦前の時代を舞台に、軍人としての責任感と、不器用ながらも優しさを持つ一人の男が描かれています。

本記事では、瀧昌という人物像や軍人としての立場、時代背景との関係性を丁寧に解説していきます。

ドラマ「波うらかに、めおと日和」の帝国海軍中尉・江端瀧昌とはどんな人物？

「波うらかに、めおと日和」において、本田響矢が演じる江端瀧昌は、帝国海軍の中尉という立場でありながら、恋愛に極端に不慣れな、まっすぐで不器用な青年です。

第一話でなつ美と結婚するも、結婚式当日に軍の訓練が入り参列できなかったという“旦那不在の新婚スタート”から、視聴者の心を強くつかみました。

凛とした制服姿と口数少ない態度は、冷たく見える一方で、その奥にある誠実さや責任感がにじみ出ており、回を重ねるごとに「こういう男性こそ信頼できる」といった声も多くなっています。

厳格で無口な軍人、しかし根は誠実

瀧昌の人物像を語るうえで欠かせないのが、その真面目さと律義さです。

なつ美に対しても優しく接したい気持ちはあるものの、それをどう表現していいかがわからず、口癖のように「問題ありません」と繰り返してしまう場面は、彼の“人との距離感”の不器用さを象徴しています。

視聴者からは「昔の日本人男性っぽくてリアル」「あの一言に彼の精一杯の優しさが詰まってる」といった共感の声が上がっており、見た目の硬派さと内面の純粋さのギャップが彼の最大の魅力となっています。

幼少期の境遇と縁談の経緯

瀧昌は、幼い頃に両親を亡くし、軍の上官に引き取られるような形で育てられた背景を持っています。

その上官が親代わりとなり、信頼の証として、なつ美との縁談を持ちかけたことが、2人の出会いのきっかけでした。

自ら望んだ結婚ではなく、上官への恩義と責任から決断したという流れも、瀧昌の生真面目さと自分を犠牲にしてでも他人に尽くす性格を浮き彫りにしています。

ドラマ「波うらかに、めおと日和」昭和11年という時代の“軍人”の役割

「波うらかに、めおと日和」の物語が展開されるのは、昭和11年（1936年）という、戦前日本の転機とも言える年です。

この時代、帝国海軍は国家の誇りであり、“軍人”は社会的に高い地位と信頼を得ていた職業でもありました。

そのため、瀧昌のような若き軍人は、ただの職業人ではなく、家族や地域からも尊敬と期待を背負った存在であり、日常生活にも“軍人らしさ”が滲む時代だったのです。

帝国海軍の社会的地位と影響力

昭和初期の帝国海軍は、国際的にも高度な訓練と技術力を誇る存在でした。

海軍に所属するだけで、将来を約束されたように見なされる風潮があり、「軍人と結婚する」ということは、女性側の家族にとっても名誉なことと考えられていました。

なつ美の父が強引に縁談を進めた背景には、このような時代特有の“軍人＝理想の婿”という価値観も影響していたと考えられます。

訓練と演習で夫婦生活に影を落とす現実

一方で、軍人という職業は過酷で拘束も多く、一般家庭のような穏やかな夫婦生活とは程遠い現実がありました。

瀧昌が結婚式にすら出席できなかったのは、まさにその象徴ともいえる出来事で、職務に忠実であるがゆえに、愛情を伝える機会すら奪われるという矛盾をはらんでいます。

「任務優先」「感情の抑制」が当たり前の軍人たちは、内面に抱えた葛藤を表に出せないまま日々を過ごしていたという、時代のリアリティがドラマに深みを与えているのです。

ドラマ「波うらかに、めおと日和」で軍服姿が象徴する“抑制された感情”

ドラマ「波うらかに、めおと日和」に登場する江端瀧昌の軍服姿は、単なる衣装ではなく、彼の人格や生き方、そして時代背景までもを象徴するビジュアルとして描かれています。

ピシッと着こなされた帝国海軍の制服には、秩序、規律、責任といった軍人としての重みがあり、同時にそこには、自由に感情を見せることを許されない“抑制された男の生き方”がにじみ出ています。

この軍服は、視聴者にとって瀧昌の静かな内面を想像させる強力な視覚的メッセージなのです。

凛々しさと不器用さが同居するビジュアル

本田響矢が演じる瀧昌は、登場シーンの多くで軍服を着たまま、無表情で立っている姿が印象的です。

その姿からは一見冷たさすら感じますが、よく見ると、立ち方、目線、姿勢の硬さに「何を言うべきか分からない戸惑い」がにじみ出ており、彼の内面にある優しさや不安が見えてきます。

この凛とした外見と感情表現の拙さが相まって、「見ているだけで切なくなる」「言葉がないのに感情が伝わる」と多くの視聴者を惹きつけています。

無言の中に込められた想いと覚悟

瀧昌がなつ美と向き合うとき、ほとんど言葉を発しないまま、感情を伝えようとする場面がたびたび描かれます。

軍服のまま、ふと見せる視線や、茶碗を差し出す手つきには、言葉以上に多くの想いが込められていると感じる視聴者も少なくありません。

そうした演出が、「あの軍服は彼の鎧であり、同時に感情を包む器のように思える」といった感情とビジュアルを融合させた深い表現として高く評価されています。

ドラマ「波うらかに、めおと日和」で恋愛に不慣れな軍人が少しずつ変わっていく

「波うらかに、めおと日和」の見どころのひとつは、恋愛を知らず、感情表現に不器用な軍人・瀧昌が、なつ美との生活を通じて少しずつ変化していく姿にあります。

任務に忠実で、生真面目に生きてきた瀧昌にとって、「恋をする」「想いを伝える」ということはまさに未知の領域。

しかし、なつ美の素直さや一生懸命な姿勢が、彼の心に小さな波紋を広げていくのです。

「問題ありません」に込められた本音とは

瀧昌の口癖である「問題ありません」という言葉は、感情を隠し、自分を律するための“盾”のような台詞として描かれています。

しかし、なつ美と過ごす日々の中で、その言葉が少しずつ変化し、“心から安心している”という優しさや受容の意味を帯びていくことに気づく視聴者も多いでしょう。

たった一言のなかに、彼の葛藤、成長、そして愛情が凝縮されていく過程は、静かでありながらも深い感動を与えます。

なつ美との関係がもたらす人間的変化

なつ美は、言葉も行動もまだまだ不慣れで、家事にも奮闘する“新米妻”です。

その姿を見て、最初は無言で見守るだけだった瀧昌が、少しずつ行動で応えたり、わずかながらも自分の感情を見せようとするようになります。

たとえば、夕食の箸を並べる、茶を入れる、帰宅したときに一瞬だけ表情を緩める――どれもさりげない演出ながら、彼の変化を確かに伝えているのです。

それは軍人としての責任感を超えて、“夫”として、“ひとりの人間”として成長していく物語そのものでもあります。

ドラマ「波うらかに、めおと日和」軍人・瀧昌の魅力まとめ

江端瀧昌という人物は、「軍人」という肩書きの中に、不器用さ、誠実さ、そして繊細な優しさを内包した、非常に人間味あふれるキャラクターです。

一見すると無口で冷たくも見える彼の言動の裏には、長年培ってきた自己抑制と、相手を思いやるがゆえに言葉にできない想いが込められています。

そのギャップが、視聴者の心に深く残り、「こんな時代にも、こんな愛があったんだ」と感じさせてくれるのです。

軍人としての責任感と、夫としての不器用な愛情

瀧昌の人物像は、軍人という立場の厳しさと、夫という私的な関係の間で揺れる男の葛藤を体現しています。

任務には真剣に、家庭には静かに寄り添うという、昭和の男性像は、現代の価値観からするとやや距離があるかもしれません。

それでも、「守るべきもののために不器用ながらも努力する姿」は、今も昔も変わらず人の心を打つのです。

硬派な男が見せる、やさしさのかたち

言葉を並べるよりも、黙って隣に座ってくれる――そんなやさしさを描けるドラマは、そう多くありません。

瀧昌の存在は、まさにその象徴であり、感情を爆発させることのない愛の形に、心を癒される視聴者が続出しています。

「波うらかに、めおと日和」が提示するのは、“言葉にできない感情こそが本物のやさしさ”であるという、新たな価値観なのかもしれません。