月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』第6話は、シリーズ中盤の転機となる回。
過去に支援された少女が、今度は“誰かを支える側”になろうとする姿を通じて、「支援の連鎖」と「過去との対峙」がテーマとなります。
この記事では、第6話のネタバレを含みながら、少女の成長、翼の葛藤、そして蔵田の静かな変化までを、心情に寄り添って詳しく解説していきます。
この記事を読むとわかること
- 支援された少女が“支援する側”になるまでの成長
- 当事者だからこそ見抜けた虐待のサイン
- 支援がつながりを生み、希望になるというメッセージ
かつて支援された少女が“相談者”として児相に現れる
第6話は、静かながら胸を打つ再会から始まります。
ある日、児童相談所に訪れたのは、中学3年生になった少女・ゆり。
彼女は、第2話で翼に支援された子どもであり、当時の経験が彼女を大きく変えていました。
「助けてもらったから、今度は助けたい」
ゆりが児相を訪れた理由――それは、自分の友人について「気になることがある」と相談するためでした。
「その子、最近ずっと腕を隠してて。学校にも遅れがちで、言葉も少なくなった」
最初は自分の勘違いかもしれないと思ったというゆり。
でも、「もし私のときみたいに、誰にも言えずに我慢してるなら……」そう思い、勇気を出して児相の門を叩いたのです。
翼は、驚きと同時に深い感動を覚えます。
“助けられた子どもが、誰かを助けようとする姿”に、支援の意味を実感した瞬間でした。
少女が目撃した友人の“異変”とは
ゆりの話によれば、その友人・菜月は家庭の話をほとんどせず、いつも“良い子”であろうと努めていたとのこと。
しかし最近、明らかに様子が変わったというのです。
「笑わなくなった。いつも誰かに監視されてるみたいに、周りを気にしてる」
ゆりは、自分が過去に感じていたものと“同じ空気”を感じたと、はっきりと伝えます。
翼は、ゆりの感覚を信じ、調査を始める決意をします。
この“当事者による通報”から始まった支援は、新たな物語の幕開けとなるのです。
支援の経験がもたらす“当事者視点”の強さ
ゆりは、支援された当時の自分を思い出しながら、友人・菜月の言動に違和感を覚え続けていました。
「私のときもそうだった。周りには何も言えなくて、平気なふりをするのがうまくなっていった」
“同じ痛み”を経験したからこそ、見えるものがある――それが今回のゆりの行動力の原点でした。
誰よりも子どもの痛みに気づく少女の直感
ゆりは、自分が支援されてから日記を書くようになったと翼に語ります。
「あのとき、私が“助けて”って言えなかった理由、今は言葉にできる気がする」
ゆりの視点は、大人でも見逃してしまう子どもの感情の機微をすくい上げていたのです。
翼は改めて、支援は「して終わり」ではなく、「支えた人がまた誰かを支える連鎖になる」ことを実感します。
その気づきは、児相の仕事の本質を見つめ直すきっかけとなります。
翼が戸惑う“支援の限界”に対する少女の答え
一方で、翼は迷いを抱えます。
「ゆりの気持ちは本物。でも、証拠もなく家庭に踏み込めるのか……」
そこに対して、ゆりは静かに答えます。
「私も“証拠”が出るまで放っておかれてた。あのとき、先に気づいてくれてたら、もっと救われた」
“現場のルール”と“子どもの現実”の狭間にある苦悩を、ゆりはまっすぐに指摘しました。
その言葉に、翼はハッとし、「ゆりの直感を信じてみよう」と決意を新たにするのです。
翼と蔵田が再び衝突、その真意と成長
ゆりの通報を受け、動こうとする翼に対し、蔵田は今回も慎重な姿勢を貫きます。
「確証がないまま家庭に踏み込むのはリスクが高すぎる。逆に子どもを追い詰めることになる」
蔵田の言葉は冷たくも聞こえますが、その裏には“過去の後悔”が込められていました。
「踏み込みすぎるな」と言う蔵田の理由
蔵田は、過去に“予感”だけで動き、かえって家族間の信頼を壊してしまったケースを経験していました。
「感情で動けばいい結果になるとは限らない。支援者は冷静でなければいけない」
これは彼の“弱さ”ではなく、“支援者としての覚悟”の表れでもありました。
一方で、翼はその言葉に反発します。
「私も、ゆりも、あの子のSOSを感じてる。信じてあげたいんです」
翼が信じたのは“少女の目”だった
今回、翼が信じたのは自分の感覚だけではありませんでした。
同じ苦しみを経験したゆりの“目”――そこにある確信こそが、翼の背中を押したのです。
「あのときゆりを信じてなかったら、きっと今、彼女はここにいなかった」
翼のその言葉に、蔵田はしばらく沈黙し、そして小さくうなずきます。
互いに衝突しながらも、信頼が少しずつ育っている――そんな関係性が、このエピソードの根底に静かに流れていました。
親に言えない声をどう受け止めるか?支援のリアル
翼と蔵田が家庭訪問の調整を進めている間、ゆりは菜月に再度声をかけます。
「何か困ってることがあったら、誰でもいい。大人でも、先生でも、私でもいいから話してみて」
その優しい言葉に、菜月はしばらく黙り込んだあと、小さな声でこう答えます。
「私、大人の人は信用できないと思ってた」
虐待が“疑い”から“確信”へ変わる瞬間
その後、学校側の協力を得て、菜月の身体チェックが行われ、背中に不自然なアザが確認されます。
それが決定的な証拠となり、児童相談所は緊急介入を判断。
家庭では、母親による“しつけ”の一環としての暴力が日常化しており、本人はそれを「普通」だと受け入れていた状態でした。
翼は思わず声を震わせながら言います。
「普通じゃない。痛いって思うことを、痛いって言っていいんだよ」
子どもの「普通」は、時に危険を隠してしまう――それを見抜くための感度が、支援には欠かせません。
「大人を信じられるかどうか」が支援の分かれ道
介入後、菜月がゆりにぽつりと話します。
「お母さんに言ったら怒られると思ってた。でも、あのとき“話していいんだ”って思えた」
この言葉に、ゆりは静かに涙を浮かべながら頷きます。
支援の成否を分けるのは、結局“信じてみよう”と思える大人がそばにいたかどうか。
それが子どもの心にどれだけ大きな影響を与えるかを、今回のケースは如実に示していました。
翼もまた、「信じてくれてありがとう」とゆりに頭を下げます。
それは支援者としてではなく、一人の人間としての感謝の表現でした。
少女が選んだ未来と、新たな支援のはじまり
すべての対応が終わった後、児童相談所を訪れたゆりが翼にこう言います。
「あの子、私よりずっと怖かったと思う。でも、ちゃんと助けられてよかった」
その言葉は、かつて“助けられた側”だった少女が“助ける側”へと立場を変えた証でした。
「私みたいな子を、今度は私が守りたい」
ゆりは、中学卒業後の進路に「福祉科のある高校を目指す」と翼に伝えます。
「私みたいな子が、誰にも気づいてもらえなかったら悲しい。だから、今度は私が守る人になりたい」
その言葉に、翼は思わず目を潤ませながら微笑みます。
支援の現場で見たこと、感じたこと、救われたこと。それらすべてが、ゆりにとって人生を前へ進める力となっていたのです。
翼が見つけた“支援者としての希望”
ゆりが去った後、翼は一人、児相の事務所で日報を閉じながら呟きます。
「助けるって、簡単じゃない。でも……こうして誰かの希望になれたなら、やっぱりやってきてよかった」
その背中を、いつの間にか蔵田が静かに見つめていました。
支援は“奇跡”ではなく、“つながり”の積み重ね。それが芽を出したとき、人は変われる。
翼はその事実を、自身の成長とゆりの姿を通して深く実感するのです。
そしてまた新たな支援が始まる。「明日はもっと、いい日になる」――その言葉を胸に、彼女たちは次の一歩を踏み出していきます。
明日はもっと、いい日になる第6話の感動と転機まとめ
第6話では、かつて支援された少女が、今度は支援する側へと成長する姿が描かれました。
通報のきっかけも、行動の理由も、「誰かを助けたい」という純粋な思い。
それは、翼や蔵田を含め、支援に関わるすべての人々に深い気づきを与えるものでした。
“支援とは何か?”
助ける側もまた、かつては誰かに支えられていた――。
支援の現場に生きる人々の想いが、静かに、そして力強く描かれた本作中盤のハイライトともいえるエピソードでした。
翼がゆりを信じたように、ゆりも誰かを信じ、未来へと進んでいく。
その循環は、小さな希望を生み続ける“支援の連鎖”として、多くの人の心を打ちました。
「助けてもらったから、今度は助けたい」
この一言に込められた想いこそ、今作が伝えたいメッセージの核心です。
『明日はもっと、いい日になる』というタイトルが、今回ほど真っすぐ心に届いた回はないかもしれません。
誰かにとって、明日が希望となるように――。第6話は、その始まりを静かに告げる回となりました。
この記事のまとめ
- かつて支援された少女が児相に再来
- 同級生の異変を察知し勇気ある通報
- “当事者視点”が支援を動かす力に
- 翼と蔵田の間に生まれる新たな信頼
- 支援の連鎖が次の希望を生む感動回
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