月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』第7話では、離れて暮らす母と息子が再び向き合う姿が描かれます。
物語の焦点は「過去に育児放棄をした母親」と「施設で暮らす中学生の息子」。
この再会はやがて、翼たち支援者にとっても“再生とは何か”を問い直す重要な機会となります。
この記事では、第7話のネタバレあらすじとともに、登場人物の心の動きと支援現場の葛藤を詳しく解説します。
この記事を読むとわかること
- 育児放棄を乗り越えた母と息子の再会
- 親子が再びつながるための支援のかたち
- “向き合う勇気”がもたらす再出発の一歩
5年ぶりの再会、母と息子の“ぎこちない距離感”
第7話は、児童養護施設で暮らす中学2年生の少年・悠人(ゆうと)が、ある決断を下すところから始まります。
彼は、5年前に自分を置いていなくなった母親に「会いたい」と自ら申し出るのです。
その突然の申し出に、施設スタッフも翼も驚きを隠せません。
施設から母に会いに行くことを決めた理由
「会いたいっていうより、“確かめたい”んだと思います」
そう語る悠人は、長年母と会っていないものの、心の中ではずっと彼女の存在を消せずにいました。
翼は慎重に話を聞き取りながら、悠人の言葉の奥にある「怒り」と「期待」の両方の感情に気づいていきます。
蔵田は一言、「この年齢で母親に会うと言い出すのは、よほどの覚悟がある」
支援者たちは、親子再会の場に立ち会う準備を進めていきます。
母親の「もう一度やり直したい」は本心か?
母・美佐子は、シングルマザーとしてかつて悠人を育てていましたが、精神的にも経済的にも追い詰められ、結果的に育児放棄。
再会の場に現れた彼女は、第一声でこう語ります。
「あのときのことを、毎日後悔してる。……できるなら、またやり直したい」
その言葉に、悠人は目をそらしたまま「そうなんだ」とだけ返します。
翼は、その様子に“再会”ではなく“再確認”に来たのだと、悠人の胸の内を感じ取ります。
互いに歩み寄りたい気持ちはある――でも、積み重ねた時間の壁は簡単には埋まらない。
この“ぎこちない距離感”から、再統合支援の試みが静かに始まっていきます。
育児放棄の背景にあった“孤立”と“後悔”
母・美佐子は、悠人との再会後、児童相談所で翼と面談を行います。
その中で、5年前に育児を手放した時のことを、初めて自分の言葉で語り始めました。
「もう限界だった。息をするだけで精一杯だった」
その声には、悔いと共に、誰にも頼れなかった過去の孤独がにじんでいました。
母が語った5年前の決断と消えない罪悪感
美佐子は、パートと育児を一人でこなしながら、睡眠時間も削り、何とか毎日を回していたと言います。
「でも、周りには“母親なんだから頑張って当然”って言われて、誰にも弱音を吐けなかった」
そして、ある日ふと家を出てしまった。無断で。
それが“育児放棄”として扱われ、彼女の人生も親子関係も大きく変わっていったのです。
「あの日から毎晩、眠れなかった。警察から連絡が来るたびに、心が止まりそうだった」
彼女の言葉には、時間が経っても消えない“親としての罪悪感”が溢れていました。
「あのとき、助けを求められなかった私」
「助けを呼べばよかった。誰かに甘えられたら、こんなことにはならなかったのに」
そう語る美佐子の目には、後悔と同じくらい、“あの頃の社会の空気の冷たさ”が映っていました。
翼は、それを聞いてそっと頷きながらこう語ります。
「私も、児相に来てから、支援って“起きてから”じゃなく、“起きる前”に必要なんだって思うようになったんです」
親を責めるのではなく、“助けを求められなかった社会構造”に目を向ける――それが、今回の支援の核となっていきます。
息子が抱えていた“言えない怒り”と“本当の望み”
一方、悠人もまた、再会を機に心の奥に閉じ込めていた感情に揺れていました。
翼との個別面談で、悠人は静かにこう語ります。
「別に、許したいとか思ってない。ただ、何があったのかはちゃんと知りたい」
その言葉は、怒りや拒絶だけではない、複雑で深い“つながりへの未練”を物語っていました。
「許すつもりはない。でも知りたい」
悠人は、施設での生活に不満があるわけではありません。
それでも、「親がいない」という事実を、自分の中でどう受け止めたらいいのか、ずっと答えが出せずにいたのです。
「なんで置いていったのか、その理由がわかれば……なんか変わるかもしれないと思って」
それは“再生”ではなく、“整理”を求める気持ち。悠人は、自分の人生を前に進めるために、母の声を必要としていたのです。
本心と向き合うことの怖さと優しさ
翼は、悠人の決断に寄り添いながらも、彼の心が壊れないよう、慎重にサポートしていきます。
「正直に言ってもらったほうが、傷つくこともある。だから、話を聞く覚悟があるかどうかが大事なんだよ」
そう語りかける翼の言葉に、悠人はしばらく沈黙し、そしてうなずきました。
本当の気持ちと向き合うことは、時に「傷を開く」ことでもある。
それでも、それが「回復」の始まりであることを、翼もまた痛いほど知っていました。
親子の再会に必要なのは、笑顔ではなく、“お互いの本音を、恐れずに交わせる関係”だったのです。
翼と蔵田が見出した“支援の新たな可能性”
悠人と美佐子のケースは、児童相談所の中でも極めて繊細な事案でした。
過去に育児放棄があり、現在も一緒に暮らしていない親子――。
再び家族としての形を模索するには、多くの時間と、丁寧な支援が必要とされます。
再統合支援と“再接触”の難しさ
「一緒に暮らすことが正解とは限らない」
蔵田のその言葉に、翼は最初戸惑いを見せます。
しかし、話し合いを重ねる中で、「再統合」とは必ずしも同居を意味しないことを学んでいきます。
“関係を取り戻す”=“同じ空間で暮らす”という固定観念から、解き放たれる支援の形。
蔵田は、「再接触という支援は、まさに“心の距離”を縮めていく作業なんだ」と語ります。
距離を保つ支援がもたらす関係の再構築
翼は悠人に「いま、無理に“親子”に戻らなくていい」と伝えます。
「あなたのペースで、あなたの気持ちで、少しずつ“会って話す”だけでも、それが立派な再出発だから」
この“距離を保つ支援”こそ、今回のケースで最も重要なアプローチでした。
急がず、焦らず、お互いの理解が少しずつ育まれる時間。
翼は、「支援とは、誰かの“答え”を与えることではなく、一緒に“考える余白”を守ることだ」と改めて実感します。
支援者も、学び、揺れながら、成長していく。
この回では、翼と蔵田それぞれが、支援の“かたち”を再定義していく姿が静かに描かれていました。
それぞれが見つけた“もう一度向き合う勇気”
物語の終盤、悠人と美佐子は再び対面の機会を持ちます。
今度は、支援者の同席なしで二人きり。
緊張が漂う中、先に口を開いたのは美佐子でした。
「あのとき、ちゃんとあなたの声を聞いていればよかった」
母と子、それぞれが踏み出した第一歩
「怒ってるよ。ずっと。でも、少しだけ嬉しかった。来てくれて」
悠人のその言葉に、美佐子は涙をこらえきれません。
「じゃあまた、話せる?……ときどきでも」
「うん。少しずつ」
たった数語の会話の中に、5年ぶりに通じ合った親子の“希望”がにじみます。
それは、“元通りになる”ということではありません。
“今の自分たちで、もう一度向き合う”という、未来への決意でした。
「親になる」ことの意味を改めて見つめ直す
ラストシーン、翼と蔵田が帰り道で会話を交わします。
「親になるって、子どもを生むことじゃなくて、向き合うことなのかもしれませんね」
翼のその言葉に、蔵田が珍しく「いいこと言うな」と微笑み返します。
親子の定義とは何か?関係とは何でできているのか?
そんな大きな問いかけを、今回のエピソードはそっと視聴者に投げかけて終わります。
静かだけれど、強い一歩。
第7話は、“再出発の準備”が整った、深く優しい物語となりました。
明日はもっと、いい日になる第7話の涙と再出発まとめ
第7話は、「親子の関係は、時間が経っても再びつながることができるのか?」という根源的な問いに向き合った回でした。
育児放棄という過去を持つ母、美佐子。
その母を「許せないけれど、知りたい」と思った息子、悠人。
ふたりが選んだのは、“無理に許し合う”ことではなく、“少しずつ向き合う”こと。
支援者である翼と蔵田もまた、「家族再統合のかたち」に新たな視点を加えながら、
“距離を保ちながら関係を築く支援”という柔軟な支援のかたちを提示していきました。
誰かを完全に許すことは難しい。
でも、少しずつ、歩み寄ることはできる。
それが、このエピソードを通して静かに伝わってきた大切なメッセージでした。
明日はもっと、いい日になる――
この言葉が、親にも子にも、そして支援者にも等しく届いた回だったのではないでしょうか。
第7話は、再会と再生を描いた、シリーズ屈指の感動回でした。
この記事のまとめ
- 育児放棄した母と息子が5年ぶりに再会
- 再統合ではなく“再接触”から始まる支援
- 母の後悔と息子の怒りが交差する対話
- 支援者が示す“距離を保つ支援”のあり方
- それぞれが見つけた再出発への第一歩
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