ドラマ「明日はもっと、いい日になる」第8話ネタバレ｜“加害者の家族”になった少年と向き合う支援とは？

月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』第8話では、少年犯罪にまつわる重いテーマに踏み込みます。

事件を起こした兄を持つ中学生の弟。その家族に残された“偏見”と“分断”の中で、翼たちが向き合うのは「加害者の家族の居場所とは？」という難題です。

この記事では、第8話のネタバレと共に、支援の視点、家族の葛藤、そして再生への兆しまでを詳しく解説します。

兄が起こした事件と、弟に向けられる冷たい視線

第8話は、ある中学生・颯太（そうた）が突然学校に来なくなったことから始まります。

児童相談所に連絡が入り、翼が対応に当たる中、颯太の家庭にはある“影”があることが明らかになります。

颯太の兄は、半年前に傷害事件を起こし、現在は少年院に収容されている加害者でした。

「お前の兄が人を傷つけた」— 学校での孤立

颯太は事件の当日から、学校で「加害者の弟」として扱われるようになっていました。

「お前も危ないんじゃないか」「家族も同じようなもんだろ」

そんな心ない言葉が、彼の居場所をゆっくりと奪っていったのです。

加害者本人ではないにもかかわらず、“兄の罪”によって罰せられるような日々。

誰にも相談できないまま、颯太は教室の隅に追いやられていきました。

事件の記憶と“何もできなかった”という後悔

翼との面談の中で、颯太は初めて事件について話し始めます。

「あのとき、兄が変な顔してた。でも、止められなかった。怖かったんだ」

その言葉には、“自分にも責任があるのでは”という思い込みが滲んでいました。

翼は優しく語りかけます。

「それは、あなたの責任じゃない。けれど、怖かったその気持ちは本当だよね」

“罪を背負うこと”と“心を抱えること”は違う。翼の言葉が、少しずつ颯太の心をほどいていきます。

翼が直面した“加害者家族への支援”という壁

颯太との面談を続ける中で、翼は一つの“支援の盲点”に気づき始めます。

それは「加害者の家族」に対する公的支援の少なさという現実でした。

被害者支援は制度化されている一方で、加害者の家族は「関係ない」として切り離されることが多い。

だが現実には、家族もまた深く傷つき、孤立していくのです。

「被害者じゃないのに、なぜ苦しむのか」

颯太の母親もまた、周囲の視線に耐えきれず、近所での買い物すら避けるようになっていました。

「私は何もしてないのに、なんで謝らなきゃいけないの？」

その声には怒りではなく、深い孤独と戸惑いがにじんでいました。

翼は、加害者家族が「誰にも助けを求められない」構造に心を痛めます。

“加害者の家族”というだけで、支援の対象から外れてしまう社会の現実。

それは、誰にでも起こり得る分断のかたちでした。

支援が“届かない”ことへの無力感

「誰もが“かわいそう”って思ってくれるわけじゃない。でも、私たちは今も、苦しんでる」

母親のその一言に、翼は深くうなずきながらも、答えをすぐに出せない自分に戸惑います。

支援の枠組みにも限界がある――それを知ったとき、翼は初めて支援者としての“無力感”にぶつかるのです。

それでも、立ち止まらないのが翼。

「枠がないなら、私たちが“つくる”側になればいい」

そう決意し、颯太と母をつなぐ“新しいかたちの支援”を模索し始めるのです。

蔵田が明かす過去の経験と、支援の覚悟

翼が“加害者家族への支援”について悩む中、蔵田は一つの過去の事例を語り始めます。

「昔、少年犯罪を起こした子の親御さんと、数カ月間関わったことがあった」

その家族もまた、事件とは無関係でありながら、すべてを背負わされたと言います。

蔵田の口調は静かですが、そこには深い悔しさと学びが込められていました。

かつて担当した“加害者の親”との対話

「あのとき、何より辛かったのは、“味方がいない”と母親が言ったことだった」

その言葉は、今回の颯太の母とも重なります。

「支援っていうのは、社会の“目”と向き合う盾にもならないといけない」

蔵田が支援者として抱えてきた“非難される側を守る覚悟”が、翼に大きな影響を与えます。

翼はその話を聞きながら、「自分がやってるのは、本当に“支援”になっているのか？」と、改めて考えるきっかけを得ます。

「守るべきはこどもひとりひとり」

蔵田は最後にこう語ります。

「“加害者の弟”なんてレッテルは、社会が勝手に貼っただけ。俺たちが見るべきなのは、“颯太”という一人のこどもだ」

支援とは“過去”を見ることではなく、“今と未来”を信じて関わること。

その信念は、翼にとっても深く響くものでした。

こうしてふたりの支援者は、それぞれの過去と覚悟を胸に、新たな支援の一歩を踏み出していきます。

弟が語った“兄の影”と向き合う決意

学校への復帰が決まったある日、颯太は翼との最後の面談でこう語ります。

「兄は兄。俺は俺。でも、家族であることは変えられない」

その言葉には、怒りでも諦めでもない、“受け止める覚悟”がにじんでいました。

「あの人と自分は違う。でも、家族だ」

「できれば兄のことなんて忘れたい。でも、あの人が戻ってきたときに、自分だけ逃げてたくなかった」

颯太は、自分の中にある矛盾を正直に語りました。

「家族であること」から逃げないという決意は、幼いながらも非常に成熟した視点でした。

翼は、彼の目をまっすぐ見て答えます。

「そう思えた颯太くんが、私はすごいと思う。誰より強いよ」

傷つきながらも前へ進む少年の強さ

支援とは、「問題がなくなる」ことではなく、「問題と共に歩いていけるようになること」。

颯太の姿は、その“支援の本質”を静かに体現していました。

兄の影を背負いながらも、「自分の生き方は自分で決める」。

そんな彼の決意は、翼だけでなく視聴者にも大きな余韻を残します。

そして、学校へと向かう颯太の背中は、これまでより少しだけ堂々としていたのです。

支援は届いたのか？加害者家族への新しい光

物語の終盤、颯太の母親が静かに語ります。

「支援を受けることが、こんなにも“安心”になるとは思わなかった」

それは、孤独の中で自責と偏見に押し潰されそうだった彼女にとって、小さな救いの一言でした。

偏見にさらされても居場所を守る支援者

翼は改めて思います。

「支援は、“かわいそうな人”にだけ必要なんじゃない。“誰にも話せない痛み”がある人にこそ、必要なんだ」

その言葉に、蔵田も「そこに気づけるのは、お前の強さだ」と静かに返します。

どんな立場であっても、その人が“居場所”を持てるようにすること。

それが、支援者たちが掲げる“あたたかい盾”としての役割なのだと、強く示されました。

「誰かのせいにしない」選択が生んだ変化

兄の罪を“自分の傷”として抱えるのではなく、

「兄は兄、自分は自分」と線引きしながらも、どこかで“理解しよう”とする颯太の姿は、今後の支援に希望をもたらすものでした。

誰かのせいにするのではなく、過去に押しつぶされるのでもなく、“前を向く”という選択が、家族の表情を少しずつ変えていったのです。

支援は届いたのか――。

その問いに、翼はそっとつぶやきます。

「たしかに、今はまだ“途中”かもしれない。でも、それでいい。支援は“続いていくもの”だから」

明日はもっと、いい日になる第8話の衝撃と希望まとめ

第8話では、「加害者の家族」は支援されるべき存在か？という難しい問いに真正面から挑みました。

兄の罪に苦しむ中学生・颯太の姿を通して、社会的偏見と沈黙の中で生きるこどもたちのリアルが浮き彫りになります。

翼は「支援が届かない人にこそ支援が必要」と気づき、蔵田も「支援者は盾にならなくては」と語りました。

それぞれの過去と経験が重なり合い、“制度外”の存在に手を差し伸べる新しい支援の形が描かれました。

颯太自身も、兄の存在を否定するのではなく、「違うけど、家族だ」と受け止める道を選びます。

加害者でも被害者でもなく、“関係性のなかで揺れるこどもたち”の声をすくい上げた回となりました。

『明日はもっと、いい日になる』――そのタイトルが、今回もまた支援者の祈りのように響く、深く考えさせられるエピソードでした。