朝ドラ『あんぱん』第122話ネタバレ！交差する決意と再出発の朝

2025年前期NHK朝ドラ『あんぱん』第25週・第122話では、のぶと嵩がそれぞれの場所で自らの表現と向き合い、再出発への決意を胸に歩み始める姿が描かれました。

のぶは特集記事に向けた準備を進める中で、取材対象者と真正面からぶつかることで“伝える意味”を再確認。

一方の嵩は、原稿の仕上げに悩む中、恩師・座間の言葉が過去と今をつなぐ鍵となります。

それぞれの“今”が交差し、未来へと続く朝を迎えるエピソードです。

朝ドラ「あんぱん」第122話ネタバレ：のぶ、取材現場で直面する“壁”と向き合う

第122話では、のぶが特集記事の取材現場で予想もしなかった“壁”に直面する姿が描かれました。

記者として経験を積んできたのぶですが、今回の取材相手は簡単に心を開いてくれる人物ではありません。

“取材する側”と“される側”の間に横たわる距離感と緊張——それは、のぶにとって新たな試練となりました。

「本当に知ろうとしているのか？」

のぶが取材に訪れたのは、高知の山間部に暮らす医療過疎地の住人・川原さん。

質問を繰り返すのぶに対して、川原はついに口を開きます。

「あんた、記者さんやろ？うちらのこと、本当に知ろうとしてくれゆうがか？」

この言葉に、のぶは返す言葉を一瞬失います。

一見穏やかに見えるその表情の奥に、取材されることへの“疲労”と“諦め”がにじんでいたのです。

取材対象者の言葉がのぶを揺さぶる

帰り道、のぶはバスの車内でメモ帳を見つめながら、自問自答します。

「私は、ちゃんと相手を見ていたんだろうか」

問いかける相手は自分自身。

“伝えたい”という情熱が、いつの間にか“聞きたいことだけを聞く”姿勢になっていたかもしれないと、のぶは気づき始めます。

この壁は、のぶが次の段階に進むために必要な通過点だったのです。

朝ドラ「あんぱん」第122話ネタバレ：嵩、原稿に行き詰まり“初心”と再会する

第122話では、嵩が新連載の原稿作成に取り組むなかで思うように筆が進まず、迷いと焦燥に揺れる姿が描かれました。

順調に見えた創作の裏側には、表現者としての苦悩と葛藤が静かに横たわっていたのです。

そんな中で思い出された“ある言葉”が、嵩の心に火を灯します。

ペンが止まる夜、座間先生の言葉を思い出す

夜遅く、アトリエの机に向かう嵩は、白紙のコマを見つめたまま手が止まってしまいます。

“もっと感情が伝わるシーンにしたい、でもどう描けばいいかわからない”。

焦る気持ちばかりが先立ち、線が震え、消しゴムを何度も握り直す。

そんなとき、棚の奥から落ちた一冊のスケッチブックが、座間先生の言葉をよみがえらせます。

「君は優しさを描ける。表面的じゃない、人の奥にあるぬくもりを」

忘れかけていた“初心”の記憶が、嵩をそっと支えました。

「君は優しさを描ける」——かつての評価

学生時代、技術も線の正確さも足りなかった嵩が唯一褒められたのが、“人物の眼差し”でした。

そのことを思い出した嵩は、ペンを持ち直し、再び主人公の目を描き直します。

「言葉にせんでも、伝わる表情にせな…」

表現は技術ではなく、想いをどう託すか——その原点を思い出した瞬間でした。

迷いながらも、初心に立ち返ることで、嵩の創作は再び動き出すのです。

朝ドラ「あんぱん」第122話ネタバレ：草吉のあんぱんがのぶと嵩を静かにつなぐ

第122話では、のぶと嵩がそれぞれ別の場所で苦悩しながらも、“草吉のあんぱん”によって静かにつながっている描写が心温まる余韻を残しました。

直接会うことのない2人ですが、同じものを味わい、同じ想いに包まれているという描写が、言葉以上のつながりを感じさせてくれます。

差し入れの包み紙に込められた草吉の気持ち

のぶのもとには、高知から届いた小包がありました。

それは、しののめ堂の包装紙で包まれた、いつものあんぱん。

送り主の名前は書かれていませんでしたが、“草吉から”だとすぐに分かったのぶは、包み紙をそっと撫でて微笑みます。

「やっぱりこの味…東京じゃ、味わえんがよね」

ひと口食べた瞬間、ふっと肩の力が抜け、緊張していた表情がやわらぎます。

“変わらない味”が教えてくれること

同じ夜、嵩もまた、作業の合間に草吉から手渡されたあんぱんをかじります。

「描けゆうか？」と一言だけかけられた草吉の無骨な優しさ。

ふわっと広がる黒糖の香りに、嵩は思わず「はあ〜…」と息を吐き、ほんの一瞬だけ目を閉じます。

変わらない味が、“変わっていく今”を支えてくれている——それが、草吉のあんぱんの本当の意味でした。

2人にとって、草吉の存在はただの“パン屋の親父”ではなく、“今も昔も、変わらずそこにいてくれる安心”そのものなのです。

朝ドラ「あんぱん」第122話ネタバレ：のぶと嵩、それぞれの“らしさ”を取り戻す

第122話の後半では、のぶと嵩がそれぞれの場所で、自分自身の“らしさ”にもう一度向き合い、取り戻していく姿が静かに描かれました。

それは大きな劇的変化ではなく、日常の中でふとしたきっかけから自分の芯に立ち返るような、穏やかで力強い瞬間でした。

書くことと描くことの“芯”にあるもの

のぶは、取材中の一言に深く傷ついたものの、ふと開いた自分の過去の記事に目を留めます。

それは以前、自分が真心を込めて書いた記事で、読者からの手紙が添えられていたものでした。

「朝田さんの言葉に、救われました」

その一文が、のぶに「私は誰のために書いているのか」を再確認させます。

一方の嵩も、かつて描いたネームの端にある落書きに気づきます。

「これ、あのとき嵩が嬉しそうに描きよったねぇ」と登美子の何気ない言葉に、思わず笑みがこぼれる嵩。

そこには“描くことの楽しさ”がにじんでいて、彼はその原点を静かに思い出します。

「らしさは人に気づかされる」気づきの連鎖

のぶが「私らしい記事ってなんやろう…」とつぶやくと、後輩記者がぽつりと言います。

「朝田さんの記事は、いつも“読んでもらう相手の顔が見える”って思ってました」

思いもよらぬ評価に、のぶは驚き、そして静かに涙を浮かべます。

同じころ、嵩もまた、母・登美子の言葉を思い出しながら、ペンを握りなおします。

“らしさ”というのは、自分だけでは気づけない。誰かが見ていてくれるからこそ、浮かび上がってくるもの——それが2人がこの回で得た気づきでした。

朝ドラ『あんぱん』第122話のネタバレまとめ

第122話は、のぶと嵩がそれぞれの道で壁にぶつかりながらも、“自分らしさ”と向き合い再び歩き出す姿が描かれた回でした。

日々の中で立ち止まり、迷い、過去の言葉に支えられながら、それでも前を向こうとする2人の姿が、多くの視聴者の心を揺さぶります。

直接会わなくても、草吉のあんぱんや周囲の温かな言葉によって、2人の心はそっと交差し合っていました。

それぞれの現場で交差する“再出発”の意志

のぶは取材現場でぶつかることで、記者としての覚悟と向き合い、

嵩は恩師の言葉と母の記憶を通して、“描くことの本質”に戻っていきます。

2人がそれぞれ違う場で、“伝える”という共通の使命に再び心を燃やす展開となりました。

ぶつかり、悩み、それでも前へ進む物語

大きな進展や成功ではなく、“悩んで立ち止まること”もまた前進であることを、丁寧に描いた回でもあります。

一歩踏み出した後に訪れる迷い、それを受け止めて、また歩き出す強さ。

この122話は、のぶと嵩の“再出発”を感じさせる静かな名エピソードとなりました。